「日本・トルコ関係史の基礎的研究」
研究種別
科研費基盤(C)一般 「東洋史」
研究期間
2008年度~2010年度
研究代表者
三沢伸生(東洋大学社会学部准教授)
研究分担者
石丸由美(東洋大学アジア文化研究所客員研究員)
研究目的
本研究は、日本・トルコ関係史を地域研究として学術的に研究する上において不可欠となる基礎的データベースの構築を行いながら、収集した資料に依拠しながら学術的研究の俎上に取り上げられることが稀有である日本・トルコ関係史の推移過程を明らかにすること目標とする。
具体的には、第一に日本とトルコの双方において明治時代に創始された日本とトルコとの関係史にかかわりながら埋没してしまっている資料の探索・発掘・収集を行うことにある。対象とする資料は、基本的に日本およびトルコの公文書館に所蔵される公文書類などの1次資料と、19世紀後半以降に刊行された新聞・雑誌などの2次資料とである。前者に関しては、現在までの準備作業の段階で両国の公文書館に関連文書が多数存在することが確認できているので、探索を継続しつつ発見した文書の複写・収集とその分析・分類を行うこととする。19世紀後半以降に刊行された新聞・雑誌に関しては、とりわけ戦前期までのものは、現在までの準備段階の予備調査において日本・トルコ双方において各研究機関に分散して所蔵される場合がほとんどであり、組織的な収集による体系的データベースの構築が望まれる。そこで日本・トルコの双方において新聞・雑誌を徹底的に複写収集して、データベースの基盤を作り、同時に時系列的な日本・トルコ関係史の推移過程の年表形式に整理する。
こうした作業を通じて発掘・複写収集した、1次資料・2次資料の双方に関して、スキャンを行って電子媒体として、二次使用が可能にする処置を講ずると共に、収集資料の目録を作成して、電子媒体・目録のよるデータベースを構築する。
上記の一連の作業を通じて、資料に依拠した日本とトルコ関係史の全体像を提示するとともに、日本とイスラーム世界との関係全体の中における、日本とトルコ関係史の果たした役割を明らかにしようとするものである。
研究成果
〔雑誌論文〕(計12件)
①三沢伸生「戦間期のイスタンブルにおける日本の経済活動(5)-コンスタンチノープル日本商品館(イスタンブル日本商品館)に関する研究-」『東洋大学アジア文化研究所研究年報』(査読無)45号, 2011年, 181-192頁.
②駒井義昭・石井隆憲・三沢伸生「在日トルコ(タタール)系イスラーム教徒に関連する視覚史料のデータベース化事業」『東洋大学アジア文化研究所研究年報』(査読無)45号, 2011年, 171-180頁.
③Nobuo MISAWA “Shintoism and Islam in Interwar Japan: How did the Japanese come to believe in Islam ?” Orient(査読有)46号, 2011, pp.119-139.
④三沢伸生・石丸由美「田健治郎のイスタンブル訪問(1896年)」『アジア文化研究所研究年報』(査読無)44号, 2010年, 357-366頁.
⑤石井隆憲・三沢伸生「戦後日本におけるトルコ(タタール)系格闘技選手に関する覚書」『東洋大学アジア文化研究所研究年報』(査読無)44号, 2010年, 335-340頁.
⑥三沢伸生「戦間期のイスタンブルにおける日本の経済活動(4)-コンスタンチノープル日本商品館(イスタンブル日本商品館)に関する研究-」『東洋大学アジア文化研究所研究年報』(査読無)44号, 2010年, 341-356頁.
⑦Nobuo MISAWA “Japon Ticaret Sergisi (1929-1937) : İstanbul’daki Japon İzleri / Japanese Trade Exhibition (1929-1937) : Japanese Traces in Istanbul”, 1453 : İstanbul Kültur ve Sanat Dergisi(査読無)No.7, 2010, pp.39-45.※トルコ語&英語
⑧メルトハン・デュンダル、三沢伸生「イスタンブルの中村商店をめぐる人間関係の事例研究-徳富蘇峰に宛てられた山田寅次郎の書簡を中心に-」『東洋大学社会学部紀要』(査読無)46巻2号, 2009年、181-220頁.
⑨三沢伸生「戦間期のイスタンブルにおける日本の経済活動(3)-コンスタンチノープル日本商品館(イスタンブル日本商品館)に関する研究-」『東洋大学アジア文化研究所研究年報』(査読無)43号, 2009年, 45-64頁.
⑩Nobuo MISAWA”The Influence of the Ottoman Print Media in Japan : the linkage of intellectuals in the Eurasian World”『イスラーム世界研究(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)』(査読無)第2巻2号, 2009, pp.36-42.
⑪Nobuo MISAWA”Ertuğrul Fasiası’na dair hakikatler / Some realities about Ertuğrul Tragedy”1453 : İstanbul Kültür ve Sanat Dergisi(査読無), No.4, 2008, pp.158-164.
⑫Nobuo MISAWA, Göknur AKÇADAĞ、”The first Japanese Language education in the Ottoman Empire (1891-92) : Shôtarô NODA’s lectures in the Ottoman Military School”『東洋大学社会学部紀要』(査読無)46巻1号, 2008年, 219-248頁.
〔学会発表〕(計4件)
①三沢伸生「エーゲ海における平明丸抑留事件(1921年)」日本中東学会第26回年次大会、2010/05/09、中央大学多摩キャンパス。
②Nobuo MISAWA”Shintoism and Islam in Interwar Japan”, World Congress for Middle Eastern Studies(=WOCMES) III、2010/07/20、バルセロナ(スペイン)。
③Nobuo MISAWA、Birinci Dunya Savasi’ndan Sonraki Turkiye-Japonya İliskileri (=第一次世界大戦後の日本・トルコ関係), XVI. Turk Tarih Kongresi(=第16回トルコ歴史会議)、2010/09/20、アンカラ(トルコ)。※トルコ語
④Nobuo MISAWA、Japonca Kaynaklar acisindan Ertuğrul Faciasi (1890)(=日本語史料に基づくエルトゥールル号事件(1890年))、Uluslararasi Ertuğrul Fırkateyni Sempozyumu(=国際エルトゥールル号事件シンポジウム)、2010/3/9、イスタンブル(トルコ)。※トルコ語
〔図書〕(計7件)
①Nobuo MISAWA, Türk-Japon Ticaret İlişkileri (=日本・トルコ通商史)、İstanbul Ticaret Odası(=イスタンブル商工会議所)2011(脱稿済), 170p.※トルコ語
②Tokyo Muslim School Album (1927-1937), Tokyo: Asian Cultures Research Institute, 2011, 48 頁.
③後藤明,木村喜博,安田喜憲 (編)、西アジア(朝倉世界地理講座-大地と人間の物語-:6)、東京:朝倉書店、2010、465頁。
④日本トルコ文化協会(編)、『絆-トルコと日本の120年-』、京都:日本トルコ文化協会、2011年、83頁。
⑤Ali Merthan DÜNDAR, Nobuo MISAWA, Books in Tatar Turkish published by Tokyo’da Matbaa-i İslamiye (DVD ed., Ver.1)、Tokyo:Toyo University, Asian Culture Research Institute、2010、40p.+ DVD.
⑥三沢伸生(監修)『日土協会『日土協會會報』(CD-ROM版,Ver.1)』東京:東洋大学アジア文化研究所、2009、32頁+CD-ROM.
⑦東洋大学アジア文化研究所・アジア地域研究センター(監修)『東洋倶樂部『東洋』(CD-ROM版, Ver.1)』東京:東洋大学アジア文化研究所・アジア地域研究センター、2009、24頁+CD-ROM.